2023年の雛祭りです♪

 2019年以来、やむなく一般の皆様をお招きしての開催を見合わせてきました雛祭り、最高のお天気の下で行うことができました。

 正住寺ご住職さまによる法要の後、当会の名前にある「楽しむ」から、自分が楽しむだけでなく、人をも楽しませる、すなわち「楽」を波及させることができたならば、川合小梅さんも大いに喜ばれるだろう、とのお言葉をいただきました。  今日の行事がそのような会になっていたなら、幸いです。

 

 今年の話者は、ずっと小梅作品を調査され、この企画を温めてこられた原洋子会員です。故・阿部健さんを支えて『幕末紀州 川合小梅のワンダフルワールド』(2013)の編集に携わり、巻末の充実した作品一覧を整えられました。また、前・和歌山市立博物館館長・近藤壮先生による2018年小梅忌でのご講演記録『川合小梅の作品と画業』(2019)を編集され、こちらも巻末に豊富な画像付きの小梅作品目録を作られました。今回の配布資料の目玉は、その後の調査で新たに画像が判明した小梅作品を追加し、かつカラーにグレードアップした改訂版です。

 原さんは、昭和55年に和歌山市の主催で和歌山城天守閣にて行われた「川合小梅展」を題材に、その目録に掲載されている、つまり昭和55年には現存していた作品一覧を示しお話を進めます。資料に収録されている当時の和歌山市長さんの、格調高く、小梅文化保存への意欲に燃えたご挨拶文に、ハッとさせられます。この展を機にひとつのブームが起き、新聞各紙に取り上げられ「小梅」の認知が拡がっていったことが容易に想像できます。 遡れば、小梅日記原本が志賀家の土蔵から発見された時、それが平凡社東洋文庫の『小梅日記』として活字となって発売された時、それから手前味噌ですが、当会主催の2008年<城フェスタ>天守閣での「川合小梅展」に多くの来場者を得、全国版の情報誌にまで特集が掲載された時にも。

 多く報道に取り上げられるようなブームを令和の今また起こすことができ「小梅」さんの名前がもっともっと知られたなら、日記も有名だけれど絵もたくさんたくさん描いていたのだ、とさらに多くの方に知っていただけたら。。。

 カラーになった作品目録を手にした本日の参加者に「みなさんはどの小梅作品と会いたいですか?」と原さんは問いかけます。今所在がわからなくなった作品、まだ一度も世に出ていない小梅さんの作品に、私達はどうすれば今後会うことができるでしょうか?

 原さんは今回の改訂にて新たに明らかになった、もうすぐ会えるかもしれない作品の現状についても詳しく報告しながら、最後に「わかやまの宝」小梅の作品を「小梅遺産」として守って伝えて行きましょう、と強いメッセージを発してくれました。

 2024年は小梅生誕220年・没後135年の節目の年。原さんが今日提言されたように、現存する小梅作品をずらりと鑑賞できる機会、3回目の「小梅展」が開催されたなら、どんなに素晴らしいでしょう!