2020年・小梅忌

 11月1日、お命日の前日はたいへんよいお天気に恵まれました。

会員9名の参加で小梅忌を行いました。

 法要のあと、ご住職は「今年は感染症一色の一年になってしまったが、疫病や大地震など、小梅さんの時代にも思いもよらぬ困難はたくさんあった。そしてそれらをちゃんと乗り越えてきた。人類の共闘で天然痘はついに絶滅に追い込まれた。」とお話しくださり、「一人一人がするべき事をし、守るべき事を守って、社会全体でこの困難を終わらせよう。」、すなわち「共に生き、共に栄える」というお言葉をいただきました。

 続いてこのひと月の報告を中心に、10月の例会を行いました。感染症の拡がりが比較的落ち着いている和歌山市でも、まだ勉強会やイベント等の計画は少し出しにくい状況ですが、ご住職のお話しにあったように、前向きに明るく、眉根を寄せてクヨクヨすることなく、道が開ける日を待ちたいものです。 

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 現在、和歌山市内のふたつの博物館では『小梅日記』に登場する名刹の特別展が開かれています。ともに西国三十三所の札所で、第二番の紀三井寺が和歌山市立博物館にて、第三番の粉河寺が和歌山県立博物館にて。どちらも見応えのある展ですので、ぜひお出かけください。上の画像は10月末の、県立博物館周辺です。

 

 現存する日記の中で、小梅さんが出かけた場所のうち、一番遠い粉河寺。和歌山市から紀ノ川の北岸を東進します。小梅さんのお宅からはおよそ25㎞の距離ですが、小梅さん、前夜はちょうど中ほどの親しい友人宅で過ごしています。慶応三年の秋のことです。

 翌日雨が上がって、自宅の方も変わりないというので、よっしゃーと粉河へ向かうことを決意。しかし途中から降り出した小雨の中、おそらくヨレヨレになりながら、別の知人宅に突然の訪問をするのですが、一家をあげて歓待され泊。次の日、念願の粉河寺に参詣しています。

 「かねての望達し候也」

☆この粉河寺まで足を伸ばす小旅行の日記は、たいへん面白く、絵本『小梅さんの日記』にも取り上げていますので、どうぞご覧くださいね。

 

 紀三井寺には、小梅さん自身が詣でたかどうかは定かではありませんが、家族が友人知人と訪れる話は残っています。また、紀三井寺の若いお坊さんが、小梅の夫のところに弟子入りした、という記述もあります。

 「紀三井寺弟子尊乗房入門。同寺の納所同道。」(文久四年=>元治元年)

 明治11年春の日記には「今日より紀三井寺開帳。方々に笹に手ぬぐひ付たるが有り。だんだん上るやうす。」(4月10日) 「上天気。今日はお米、松下と紀三井寺参り。」(5月4日) 「天気吉。紀三井寺の開帳も今日切。明日より三日の間、回向之有よし。」(5月5日) とあり、8月には「千日参り」の記事も見られます。

 明治15年、小梅さんはもう80才近い高齢なのですが、人に頼まれた絵を59枚仕上げて渡したとあり、その中に「紀三井寺参」の絵もあったようです。どこかに残っていないかなあ。見てみたいですね。

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 次回11月例会は、忘年会を兼ねて11月25日(水)13:00より行います。 

本年最後の集いとなります。 

場所はいつもの地域フロンティアセンター(フォルテワジマ6階) B室です。