6月例会の報告です。

 やっと仲間と席を同じくして、楽しいひとときを持つことができました。

会員以外のご参加2名を加えての、昨日の例会の報告をいたします。

  休会を余儀なくされていた間にも、絵本『小梅さんの日記』および『川合小梅の作品と画業』へのご注文をいただき、有り難いことです。

 

 日本での1年間のご研究期間が終盤を迎えているパートナー先生も参加され、2017年に初めて会に参加されてからの思い出や、川合小梅に関するお考えを披露してくださいました。

 これまでも、有名人ではない個人に焦点を当て、日記の精読や現地取材などをもとに、日本の幕末から近代への道を独自に描いてこられたパートナー先生ですが、今回の川合小梅に関しては、「21世紀に生きる外国人の自分と、江戸時代の日本の女性は、親しく近づくことができるだろうか」と少し距離を感じていた、と話されました。

 

 また、何度か和歌山の町を歩いた折には「不幸な戦争で私の国が潰してしまったのは、小梅さんの城下町だった」と感じていたことを率直に仰り、戦禍の経験がなく、先生のお気持ちに全く思い至らなかった私は、少し驚きました。

 しかし「例会への参加を重ね、会員のみなさんや各分野の研究者の先生方との交流の日々の後は、小梅さんをずっと親しく感じられるようになった」とのお言葉には、安堵と嬉しさがこみ上げてきました。

 一度だけ例会で同席された『川合小梅のワンダフルワールド』の著者である故・阿部健さんとの共通の問いであった「小梅さんはいったいどんな人だったか」について言及され、男女の格差はあれども決して不自由ではない人、と仰いました。

研究当初は「近世・現代」の違いは相当大きいと思っていたが、実はそんなに違わないのではないか、150年前の日本、いや世界と今は、そんなに離れてはいない、とも述べられました。

 視点を変え、小梅本人は自分のことをどんな人だと考えていたかについて「妻(母)であり画家であることが大事だと思っていたのではないか」と仰いました。

 学校で受ける歴史の授業では、社会構造の違い、階級や男女の違いなどから、幕末から明治を特に女性にとって厳しい時代であるとの印象を持ちがちですが「小梅さんは制約を受け入れつつ完全な人生を送ることができた」との力強いご考察。そうだそうだ!とこれまた嬉しく拝聴しました。

                      (パートナー先生からのお土産↑)

 コロナ禍で無期延期となってしまった先生のご講演「アート・ジェンダー・革命:女流画家川合小梅が経験した幕末維新期」では、江戸期と明治期の絵画作品制作数の比較から、絵の創作とお金について話してくださるおつもりだったそうです。 いつかきっと講演を伺う機会があると期待しつつ、そして、先生のご著書の完成を心待ちにしつつ、お名残惜しいですがひとまずのお別れをいたします。

(↑山本美保子さんから先生へのプレゼント)

 

 浅学を承知で ほぼ同時代の女流絵師に思いを馳せれば、『小梅日記』に登場し、近藤壮先生の『川合小梅の作品と画業』でも考察された、同じ紀州の阪上素玉や、父親に負けない腕を持っていたとも言われる、葛飾北斎の娘・応為は、自分という存在をどのように考えていたかなあ、などと興味が沸いてきます。

 パートナー先生の「この会は、『小梅日記』を楽しむ会であり、また川合小梅を蘇らせる会ですね」という過分なお言葉を胸に、楽しく活動していきたいものです。

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         ☆7月例会は7月29日(水) 13:30から☆

   フォルテワジマ6階 「和歌山市地域フロンティアセンター」にて 

      例会+3月に開けなかった総会を同時開催いたします。

 

コロナ禍に邪魔をされず、開催できることを期待し、

皆様のご参加をお待ちしております。