第九回雛祭りと2月例会の報告です。

 ようやく春らしい陽気に恵まれ、各地で梅の花を楽しめるようになりました。

 第九回となりました当会の雛祭り、今年も和歌山市東長町の正住寺にて開催させていただきました。

 長い歴史を持つ正住寺は、日蓮宗に改宗した後の17世紀にはこの地にあり、また紀伊徳川家が御濱御殿を造営する際に、その鬼門(北東)に当たるというので、寺内には鬼門天を祀っています。また墓所の奥には、2010年末ごろに当会がお願いして植えていただいている塩竃桜が嬉しく育ち、あとひと月もしないうちに愛らしい花を咲かせてくれそうでした。

 川合梅所・小梅夫妻のご供養、また当会や本日の参加者への有難いお言葉を含む中井ご住職のご丁寧な法要の後、ご法話を頂きました。

 今年はお釈迦様のお姿を表現する「三十二相 八十種好」の「三十二相」について、詳しく教えていただきました。お手、おみ足などのお身体つきから、お声や歯、秘密の場所まで、当たり前ではありますが、常人離れをした、それぞれに深い意味のある御特徴を持たれ、万人を魅了し、また心に平穏を与える存在であったことがわかります。昨今はブームとも云われ、お寺だけでなく、博物館の特別展などで鑑賞する機会の多いお仏像。次の機会には少し違った目で拝見してみようと思います。

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 続いて永廣禎夫先生のご講演です。平凡社から刊行されている『小梅日記』は、全三巻ですが、そのうち江戸時代のものが収録されている第一巻と第二巻から主に小梅作の和歌を拾い出し、分類され考察を加えてくださいました。

 分類のうち最初にご紹介くださった叙景歌の中には、ここ正住寺にて詠んだ歌が四首あり、そのうち二首には「塩がまざくら」と詠まれています。菩提寺ではないものの、こちらにおられた日導上人と川合家との親しいお付き合いから、仲間で集まって風流な花見の宴をしたことが偲ばれます。

 それぞれの歌を一緒に詠ずるよう促され、なるほど歌を楽しむとはこういうことなのだな、と嬉しい体験。そして詠む者も鑑賞する者も、かなりの教養が求められる“遊び”であることを再認識しました。本居宣長の養子である,本居大平に師事し、娘に手ほどきしていた母辰子さんも、小梅に負けない教養女性であったのですね。

 まだまだお話しを聴いていたいと惜しみながら、時間が来たので別室で茶話会。総本家駿河屋の本の字饅頭とひなあられを前に、しばしお喋りを楽しみました。

 本年もたくさんのご参加をいただき、有難うございました。

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○和歌山市坂田243の了法寺にて、お釈迦様の涅槃像の一般公開が3月15日(木)にあります。茶話会の折、中村会長から『小梅日記』に書かれている記事についての小さなレジュメが配られ、中島副会長から行事のあらましが説明されました。

小梅さんは文久4年の2月15日に参詣しているそうです。年に一度だけ釈迦堂を開帳してくださる貴重な機会です。よかったらお出かけ下さい。

 

○和歌山大学名誉教授の安藤精一先生が、2月28日96歳でご逝去されました。近世の経済史がご専門で『小梅日記』も早くから研究対象とされ、2008年の城フェスタの折には当会主催の講演会でお話しくださるなど、たいへんお世話になりました。また、中村会長と山上にとっては、まだ二十世紀だったころに是非とも読むようにと強く勧めてくださり、小梅さんとのご縁を作って下さった大恩人です。とうとうあちらでお待ちの奥様のもとへと旅立たれたのだなあ。。ご冥福を心からお祈りします。

 

<平成30年3月例会・総会>

3/28(水)13:30~ フォルテワジマ6F 

  NPOボランティアサロン