2月例会報告と第八回雛祭り

2月22日(水) 2月例会を行いました。

 各種報告および第八回雛祭りについて最終確認をした後、御所伸之さんによる「小梅日記に見る西南戦争」の講義を皆で聴きました。

 関連する歴史的事実を押さえ、御所さんによる「小梅日記」の該当箇所の現代語訳を確認した後、日記記載内容の検証と考察が発表されました。濃い内容で、たいへん勉強になりました。明らかな誤認が混じっていたとしても、激動の時代を「勝者の記録」ではなく一般主婦となった小梅が得た情報として詳しく記録されていることが、とても貴重だと思います。

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 昨夏に落慶式を終えられた立派な山門に迎えられ、今年も正住寺さまのご協力にて雛祭りを開催しました。小梅の描いた立ち雛が迎えてくれる本堂にて、小梅一家とたいへん親しかった日導上人、夫の梅所、そして小梅のご供養と中井ご住職によるご法話をいただきました。

 室町時代に遡るという歴史あるお寺ですが、神社を重視する時代にはお寺は弾圧を受け、また昭和20年7月8日の和歌山大空襲で全て燃え尽きるという、ひどい災いも経験されています。御本尊は綿を被っておられますが、これは将軍からの刀傷を守るためだそうで、迫害に耐えるお姿なのだそうです。 

 今年の雛祭りも、会員の研究発表の会となりました。司会は辻康子さん。

まずは中村純子会長の登場です。

*うわさ話*あれこれ と題して、小梅が近所の人や友人、親類と話したことを日記に書き留めているものを11項目抜粋して、話してくれました。「具足お試し」は嘉永六年の話。防具の強度を試すために、罪人が使われたという残酷なお話し。安政六年の「子殺し」万延二年の「世相・困窮」と紹介が進み、そのあとは会場の方のリクエストで慶応三年の「狐つき」万延二年の「異人の話」と続きました。私は「密通」なども聞きたかったのですが、お時間許さず、次にバトンを渡します。

 これだけの話を日記に残す小梅。話し上手な小梅の周りにきっと人が集まったのでしょう、情報伝達の中心、人気ブロガーか!という気がします。

 続いて渡辺圭司さんの「ディアナ号 その後」です。

 「小梅日記」の嘉永六年八月二日に「おろしゃ舟又みへるよし」の一行があります。ペリーの一ヶ月後に長崎に現れたロシアのプチャーチンが、翌・嘉永七年九月にディアナ号に乗って紀州沖に現れ、紀州藩はその対応に大騒ぎ。お台場など急ぎ準備します。ところがかの船はその後、伊豆下田沖で安政の東海地震による津波で沈没。現在の沼津市にあった戸田(へだ)港にて代艦建造の運びとなりました。修理に携わることになった日本の船大工達が、外洋帆船の作り方を取得し、全国の造船近代化の担い手となったそうです。 勝海舟に「魯国の一大不幸や、わが幸となり」と語らせたように、降ってわいた幸運に技術の大躍進がもたらされたことを、現地で得た資料を披露しながら、語ってくれました。

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会員発表後は準備してくださった別室で茶話会。楽しい時はあっと言う間に過ぎて、最後は会員の阿部健さんが作ってくれた川合小梅に捧げるCD「ここにいるだけでもいい」を皆で聴き、散会しました。ご興味を持たれた方、どうぞ来年お越し下さいね。

3月例会は総会です。会員の皆様、万障お繰り合わせの上ご参加ください。

もちろん、見学も大歓迎です。

 日時 3月29日(水) 13:30~ 

     NPO・ボランティアサロン(フォルテワジマ6F)にて