川合小梅さんご子孫、志賀俊之さん講演会

 日産自動車株式会社 代表取締役副会長の志賀俊之さんは和歌山市のご出身で、実は川合小梅さんから6代目のご子孫です。2月13日午後、志賀さんが登壇された「わかやま女性の活躍促進連携会議」主催の講演を拝聴してきました。

 ご講演のタイトルは「グローバル競争に勝つ人づくりーダイバーシティが競争力の源泉」。超一流の企業人が語る「ダイバーシティ(=多様性・相違)マネジメントの実践とその効果のお話は、たいへんわかりやすく興味深いものでした。

   志賀さんがルノー社スタッフとの仕事が始まって感じたダイバーシティ推進の有用性。それを男性にとって一番身近な「違うもの」である女性の積極的な登用・活用に結び付け、いつの間にか作ってしまっていた限界を取り払うことで躍進を遂げることができた、というお話に、満場の聴衆は肯きながら聴き入りました。内閣府特命担当大臣賞を「女性が輝く先進企業」として受賞される等、外部からの評価の高いということも女性としてたいへん嬉しいことです。

 配偶者が家事・育児に参加することへの理解や、短い時間で効率よく仕事のできる人を正当に評価するといった組織内での認識の変化も、こういうところからどんどん進んでいくのだろうと感じました。

 また、小梅さんについてのお話にもお時間を割いてくださいました。絵本『小梅さんの日記』や当ホームページについてもご紹介いただき、たいへん光栄で嬉しいことでした。

 思えば小梅さんの夫である川合梅所(豹蔵)は、幕末という男性社会で妻に代わって買い物に出かけることも、酒席に妻が同席することも、更には酔いつぶれた妻を介抱することもごく自然にやってのけた男性。話し甲斐のある妻に政治や経済のあれこれを語り、違った視点での意見を求めたかもしれません。書物を読んだり写したりすることを許し、家事労働以外の活躍の場を与えることを喜んでいたように感じます。お祖父さんの春川も、賢い孫娘に男の子と同じ教育を施した教育者。志賀さんのお話から、明治維新の大変化を逞しく生き抜いた小梅さん一家の力の源を再発見したように思いました。

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 ご講演に先立ち、当会会員との懇談の場を設けていただきました。お祖父さまの志賀裕春さんがお蔵で日記を見つけ、自室でその読解に没頭されているお姿をよく覚えておられること、日記で面白いところが出てくると、俊之さんをはじめお孫さん達を呼んで話して聞かせてくれたなど、ご家族ならではの思い出話を伺いました。和歌山城の西側にあった志賀家が2kmほど南に移っていたために、戦禍を被らずに日記が残ることになったのでは、というお話に、東洋文庫『小梅日記』の誕生の幸運をあらためて実感しました。会員一同、気さくな志賀俊之さんに魅せられた幸せなひと時でした。志賀俊之さん、ご講演会の企画・運営に携わった皆様、有り難うございました。

        (↑懇談の場の写真2点は服部薫さんご提供)