第十一回小梅忌

 和歌山城天守閣再建60周年の今年、和歌山市内では様々な記念行事が行われてきました。思えば50周年時には、私達「小梅日記を楽しむ会」は天守閣で「川合小梅展」を開催させていただきました。あれから10年、川合小梅の魅力はより多くの方に知っていただけるようになったでしょうか。

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 11月2日、第十一回 小梅忌を行いました。今回は百三十回忌にあたり、和歌山市立博物館の近藤壮館長をお迎えし、記念の行事として多くの方にご参集いただきました。 

 まずは妙宣寺ご住職によって法要が執り行われました。小梅さんから数えて六代目のご子孫の方にもお越しいただき、一同小梅さんのことを胸にお焼香させていただきました。

 ご法話では、天災の多かった今年を振り返りつつ「三災四劫」の言葉を教えて頂きました。そして、自らの中の「仏」を自覚しつつ、人と人が敬いあうことを忘れず過ごそう、とお話しくださいました。

 

 休憩のあと、いよいよ近藤先生の登場です。

まずは小梅さんの肩書きを確認。『小梅日記』が平凡社の東洋文庫として世に出る1975年以前は、どういう認識をされていただろう、という検証です。戦前出版の事典には「画家」として掲載されており、江戸時代の紀州の画家およそ二三百名のうち数名という女性の画家のひとりであったと指摘されました。すごいぞ、小梅さん♪

 市立博物館が所蔵している小梅の大作の一つ「観梅円窓美人図」は、近藤先生が平成20年に発見して市のために入手されたもの。そのモチーフについて詳しく解説していただきました。中国の逸話に登場するこの美女は、お酒を嗜み、どうやら正体はの精。小梅さんにぴったりです。使われた印「羅浮洞仙」は、そのお話のタイトルに「洞」という字を入れることで、「私は小さい洞に住む者ですが、、」とちょっとだけ遠慮したらしい。たしか正住寺の「立雛図」にもこの印がありました。小梅さんが自分の名にある「」に愛着を持っていたことが分かりますね。

 続いて、『小梅さんの日記』から小梅さんの絵が登場する場面を検証してくださいました。取り上げて下さったのは「父母の絵」「ふすま絵」です。画のみではなく賛という画面の中に記す文章まで相談を受けていたり、八十歳近くにもなって、依頼者の屋敷に泊まりがけで多くの作品を描くなど、やはりプロの画家の名にふさわしい活躍がみとめられるとのことです。もうひとつ「荒浜へ」では、先輩女性画家・阪上素玉とのエピソードが興味深い、とお話しくださいました。素玉さんがの絵が得意、と聞くとますます、、ね。

 最後に、博物館の先生はこういう具合にお仕事をなさるんだ、という貴重な秘密のお話しをご披露くださいました。一同にとって素晴らしい喜びとなったその驚きのエピソードは、小梅忌限りの「ここだけの話し」。近い将来、公になりますことを大いに期待しています♪♪ 

 ご参加下さった大勢の皆様、我々の活動に身に余るお言葉をくださいました、ご子孫の尾崎さま、そしてもちろん近藤壮先生、有難うございました。

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 次の例会は本年最後、12月11日(火) 16:30~ 

NPO・ボランティアサロン(フォルテワジマ6階)です。

『小梅日記』勉強会は絵本の「父母の絵」

いつもの”月末水曜日”とは違っていますので、お気を付け下さい。

 

そのあと、忘年会を17:30~場所を移して行います。

忘年会参加ご希望の方は、中村会長までお申し込み下さい。(飛び入り歓迎です)

 

年賀状も発売開始となり、そろそろ気忙しくなってまいりました。

どうぞ皆様お元気でお過ごし下さい。